「できたーーー!!!」と、心の中で叫んだ。
平日昼下がり。バンコク一等地にある、デパート。地下のコーヒーチェーン店のテーブルで一人画面と格闘した。3時間。その画面はパソコンではなくipad。
出発直前まで迷った。結局、このタイ旅でノートパソコンを持っていかなかった。1週間以上自宅を離れるのに、パソコンを持たないのは初めてだった。実家への帰省でも必ず持参したし、実際「持っていてよかった!」と思うことは何度もあった。
しかし、いつもなんだか腑に落ちなかった。一体なんのためのipad…
小さな実験だった。ipadだけでどこまでできるのか。一番の懸案事項はこのブログとSNS(主にインスタグラム)4コマの更新だった。出発直前の時点でどうしてもパソコンが必要な外注案件はなかった。小さなラフを制作するくらいであればipadのアプリでなんとかなる。もしも旅の途中に特急案件があっても、涙を呑んで断るつもりだった…。折角の旅だもの…
しかし。
結局断らなかった。タイに着いて1週間後、日本から1つご依頼を頂いた。名刺用のカット制作。期限は約1週間。以前のご依頼主からのリピートだった。やって出来ないことはない、と思った。ちょうど、タイについてから数日でipadで出来ること・出来ないことをざっくりチェックし直したところだった。
結果、ipadだけで(正確にはプラス・iphoneで)作業を終えることができた。もっとも、パソコンがあればもっと簡単・スピーディーな点はいくつかあった。加えていつもの操作とは少し違う慣れない手順。よって、おしゃれなカフェで一人鬼の形相に。作業がすべて終わり一息ついた頃、前に何かで読んだ言葉を思い出した。
「荷物の量は旅の楽しさに反比例する」
ノートパソコンの重さ約1.8kg。ひとまず、その分だけ絵描き経験値は上がったかな。