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【映画レビュー】稲垣吾郎主演「半世界」で蜜柑にくぎづけ

2019年2月25日

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「わざわざ映画館で見なくても」という葛藤少々。同じSMAPなら、木村拓哉主演「マスカレード・ホテル」の方がスクリーン映えするんじゃないか、と一瞬でも考えていた自分にバカヤロー。
わざわざ映画館に行く意味のある「大好物映画」だった。

 

『半世界』予告編|Another World - Trailer HD

感情移入しようとするとフワリと交わされる感覚があった。高畑勲監督の「おもひでぽろぽろ」を思い出した。主人公の妙子が田舎ステイを通して自分を探していくのだが、何かを見つけたかもしれない瞬間に、次のエピソードに写ってしまう。
「半世界」の中でも登場人物の目的は劇的に解決に向かわない。だが、シーンの切り替わりは早く飽きない。私達の日々だって、疑問や不安がドラマティックに発展・解決することなんてほとんどない。嬉しかろうが、悲しかろうが、時間は同じペースで過ぎる。現実に、起承転結はないのだ。

主人公が、妻と蜜柑を食べるシーン。風呂上がりの妻(池脇千鶴)が蜜柑を雑に頬張る。話すことに夢中で、ほとんど丸呑み。あの空間のメインは蜜柑の食べ方ではない。だけど、蜜柑は必要。誰かと大事な話をする時、意外とどうでもいいことを一緒にやっていたりする。すると「大事な話」は中和され、結論が出ない。我が両親のかつてのやりとりを思い出した。時々責めるようにしゃべりまくる母。安ウィスキー片手にパソコンに向かったまま話を流す父。それが延々と続く。子ども心に「なんと無意味な対話」と感じた。だけど意味はあったのだ。起承転結のない、ブラックホールみたいな現実を受け入れるために。

稲垣吾郎の在り様は、リアルだった。空気読めない・ビビリ・直情型。現実の彼がどんな性格なのかなんて知らないけど(肉眼で見たらとりあえず超絶男前だったけど)、本当はこういう人なんじゃないかと思わせてしまうリアリティがあった。

上映場所が少なく、宣伝もほとんどない中、こういう映画に出会い、鑑賞出来たことに満足。館内は自分より年上の観客が多かった印象。自分と同世代以下がこれを見て何を思うのか聞いてみたい。

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