昨年秋、2週間ほど里帰りをした。
実家に戻った時は必ず、母が持つスマホやパソコンのメンテナンスをする。恐ろしい数の未読メールを削除。アプリのアップデート。不要なファイル洗い出し。難しいことはあまりないのだが意外と時間がかかる。
衝撃の事実が判明した。
「え!なんで?」と、母に向かって大きな声をあげた。
ガラケーからスマホに乗り換えて2年になる母。今、誰かと連絡をとる際、一番利用しているのがSMS(ショートメールサービス)だったのだ。
私や妹達とはラインで連絡を取り合っている。てっきり、他ともそうであると思い込んでいた。
SMSは、電話番号を使って文字メッセージを送り合うことができる。異なるキャリア(=通信会社)同士だと1通3円など、有料になる場合があるのが難点だ。
しかし母は有料であってもSMSが一番使いやすいと言う。
Eメールやラインも少しは使うが、娘達をはじめ、ごく一部の相手とのみらしい。なぜか。連絡相手の半分くらいは、"非・スマホユーザー"だからだ。母が新しい連絡手段を覚えてもそれでは意味がない。
また、Eメールも何かと面倒らしい。ガラケー時代には【赤外線でアドレス交換】が合った。スマホではできない。なんとか手打ちでアドレスを電話帳に登録。そこへ、相手のアドレスが変更されたりするとまた編集作業に手こずる。
電話番号だけ交換できれば、ガラケー・スマホ関係なくやりとりが始められるSMS。母達にはもっとも楽な連絡方法だったのだ。SMSでは事足りない事項は?…いうまでもない、電話をかければいいのである。
もう一つわかったこと。
想像以上に、いや想像とは全く違い、母はネット上のコミニケーションそのものに魅力を感じていない。2年前母がスマホが欲しいと言った時、母も自分達と同じように、スマホで外部とコミュニケーションがとりたいのだと思っていた。しかし、
「『簡単・便利』が一番。だけどちょっとは新しいものにも触れてみたいかなー」
これがスマホ購入の理由ある。
スマホは、なんだかよくわからないけれども新しくて面白いものを運んでくれそうなおもちゃなのだ。
母はスマホを【使いこなして】いた。自身に合ったやり方で。なんの問題もない。料金のことを考えるともどかしいが、請求書の金額はそれほどでもなかった。誰かともっと親密に連絡をとりたいのであれば、喫茶店で話し込むか、長電話したりすれば良い。母世代にとって、スマホやパソコンはコミュケーションの中心にはない。だから、慣れない操作を無理やり覚える必要がない。これからは英語は必須だと言われても、普段使わないのであればモチベーションは下がって当然なのと同じである。
ここまで考えて、母や、その同世代に無理にスマホを勧める意味がどれほどあるのだろう?と考えた。先日取得した資格で、母世代のお役に立てることはないか…と考えた自分。まるで大きなお世話ではないか。
…いや、この世代なりに、正しいスマホの使い方というものがあるはずだ。それを探ってみよう。母の希望を完璧に満たしてくれるような仕組みを作った者が、大成功するかもしれない。